グーグルのcookie問題について、前回はマイナス要因中心にまとめてみましたが。今回はその移行期間の2年間で恩恵を受けるかもしれない『記事広告』の面白そうな事業に取り組んでいるオールアバウト(2454)について、事業内容と記事広告の取り組みを確認してみたいと思います。
その前に、前回グーグルのcookie問題についてまとめた記事をまだ読んでいない方は…
こちら⇒
という導入部分だけ書いて、しばらく放置してしまったのですが…金曜に発表された上方修正で注目を集めているので続きを書くことにしました。
※参考:オールアバウト業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ(2020年4月24日)
上方修正の要因となったのはコンシューマーサービスの「サンプル百貨店」の増収増益によるものと説明されています。営利が95.5%増加しており、コロナの影響で株価が大きく低下したこともあって、当日のPTSではS高をつけました。
サンプル百貨店について簡単に説明をすると、お試しで提供されるという体裁の割安ECサイトです。できた当初はお試し商品の無料提供をしていましたが、割安提供に変更し、さらにコストの削減があって増益に転換してきました。
上方修正では詳細の数字はわかりませんが、元の利益率がかなり低いので、ここからさらに利益率を改善していると考えられます。しかし、この利益率がどれくらい改善できるかわかりませんが、2Q時点の営業利益率が2.5%…倍になっても5%です。
低価格の日用品ECということで、コロナ禍の売上増などがあったとしてもどこまで伸びるかなというところ。目先のオーバーシュートはあるとしても、その先は…ちょっと手を出しづらい印象です。
新広告プラットフォーム「PrimeAD」
にもかかわらず、なにに注目してブログを書いているかといえば…それは、この「PrimeAD」という新サービスです。
わたしがこのサービスを知ったのは、昨年か一昨年の日経のイベント。そのときの感想は「なんてずるいことを考えるんだ!」というものでした。
このサービスを簡単に説明すると、WEBメディアの記事広告代理店です。
記事広告というのは、タイアップ記事ともいわれ、広告代理店が製作する純広告と違いメディアが掲載費と制作費を受け取って記事の製作も請負ます。メディアに掲載された際、使い回しのできない記事の制作費が余計にかかるものの、メディアの編集記事と似たような印象に仕上がるので人気が高い広告の手法となっています。
制作+掲載単価はもちろんメディアの特性や制作内容によりますが、平均的なところで1本30~80万円程度です。
通常、記事広告はメディアの営業がクライアントから直接、または広告代理店を通じてメディア単位で受託します。オールアバウトのPrimeADでは、クライアントからオールアバウトが広告を受託します。しかし、これだけでは、普通の広告代理店と違いはありません。
違うのはここ、受託した記事広告の企画を複数のメディアから募集し、選ばれたメディアに記事広告を発注するのです。はっきりいって、これだけでもメディアも広告主にもWINWINです。メディアは営業の手間が省けます。広告主は複数社への記事広告の発注をまとめてできるうえ、そのなかから良さそうな企画を選ぶことができ、さらには効果測定の比較もできるということです。
ただし、メディアとクライアントをつなぐプラットフォームという意味では、参入障壁はそんなに高くないかもしれません。大手で参入の可能性があるとすればWEB広告に強いサイバーA、フリンジ、電通…うーん、できなくはないだろうけどやるかなあ?という印象。実際、スタートして2年ほど経つはずですが、プラットフォーム開発の段階でもあってまだ表だった数字は見えていません。
しかしcookieの使用が段階的にできなくなるこのタイミングで、WEB広告市場の資金がある程度、記事広告へ移ることがあれば面白いのではないかと思い注目しています。
※参考:オールアバウト、8期連続増収を達成 コンシューマサービス復調で営業益・経常益ともに黒字転換-ログミーファイナンス(2019年11月8日)